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コラム

邦画・洋画を問わず、最もクールな男たちとは?

大きな議論を呼びそうなこの質問ですが、確実にその筆頭として挙げられるのは「スパイ映画のエージェントたち」でしょう。

誰もが1度は聞いたことがあるスパイ映画の金字塔『007』や、数々のスパイ映画への愛あるオマージュが詰まった『キングスマン』。いずれも独自の哲学や美学を持った男たちが、ときにクールに、ときに豪快に無謀なミッションへ身を投じます。

実はスパイ映画って、イギリス伝統のジャンルと言えるくらい、良作や珍作(?)が多いのです。先ほど紹介した2作品はもちろん、『007』とは違い一般人風なスパイが活躍する『国際諜報局』。社会派の重厚な作品である『裏切りのサーカス』なども有名です。

作品のタッチや主人公像は本当に様々ですが、共通することが1つあります。

それはどの作品も、完璧なまでに洗練されたスーツスタイルでビシッと全身をコーディネートしているという点です。

そして、彼らエージェントは足元への配慮も怠りません。つま先からかかとまで手入れの行き届いた革靴が、彼らのファッションをより高い完成度へと押し上げています。

エージェントの舞台は、泥臭い場所から国際的要人が集うパーティ会場や華やかな場所まで、実に多彩です。そんな彼らにとって、革靴はまさに最高のパートナー。

政府高官や怪しげな会合、つい見とれてしまう美人に堂々と接近する彼らのその装いのハイセンスな立ち居振る舞いを見ると、「自分もこんな格好をしたい!」という強烈な変身願望が湧き上がってくるのを感じます。

またその華やかさから一転して、突如起こるタイミングで銃撃戦や乱闘に巻き込まれるタフなシーンでも革靴は大活躍します。スパイ映画の醍醐味であるアクションにおいて、常にハードな動きを要求される場面をも、耐久性の高い革靴は見事に耐え抜きます。

フォーマルシーンには当然のようになじみ、時にハードな戦闘も能力を秘めた革靴は、過酷な毎日を送る男たちのシンボル的存在です。

今最もホットなイギリススパイ映画と言えば、文句なしで『キングスマン』と言えるでしょう。2017年に第2弾が上映された今作はライト版007のような痛快ストーリーやコミカルなキャラクターがたまらない魅力を持っています。

そんな見所満載な今作において、私が最も心惹かれるシーンがあります。

それは、主人公エグジーが後に彼の師匠となるエージェント、ハリーに店内のアジトを案内される場面。

名門紳士服店が立ち並ぶスーツの聖地とも言えるサヴィル・ロウの1角にあるアジト兼高級テーラーであるその建物のショーケースには、スパイ活動時に身に付けるメガネや時計、小道具が美しく飾られています。その中央には、彼らが愛用する革靴が。

このちょっとした場面には、革靴に対する、その機能性を超えた愛が詰まっている気がしてならないのです。

革独特のなじみ方は、スニーカーのそれとはまるで違います。最初は硬くゴツゴツしたはき心地で違和感さえ覚えます。しかし履き続けることで最大限に高まった革靴のフィット感は、まるで吸い付くような感触を覚えるでしょう。

ここまで成長した革靴は、もはや手放すことのできない存在です。足になじませるだけでなく、丁寧な手入れを加えるなど手間暇という代償をかけて慈しんだ革靴は、自分だけのとっておきの宝物になります。最初は頑固だけど時間をかけて親友になっていくなんて、まるで人間みたいな関係だと思いませんか?

エージェントたちにもこよなく愛されていることがわかるそのショーケースには、革靴の持つ人情味溢れる魅力が表れているような気がするのです。

筆者Profile
サトートモロー
出版業界出身の映画ライター。ライフスタイルに関するコラムや映画批評を執筆。
大のお酒好きですが痩せるために絶賛断酒中です(笑)
趣味:映画鑑賞・ウィンドウショッピング・格闘技
その他:外出時はオシャレで癖のある書店をよく探しています。
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